Pixel3 レビュー最終回はカメラファイルとオーディオについて書きます。
カメラのモーションフォトが面白いという話を前回のレビューで書きましたが、USB等でPCに吸い出すと普通のJPEG画像としてしか見れません。そこでモーションムービーとして閲覧できるブラウザアプリを作ってみました。
Google Pixel3 Photo File Viewer を開く
モーションフォトだけでなく各種画像やMP4動画ファイルも閲覧できる汎用ビューワーになっており、パノラマファイルはWebVRでの閲覧もできます。使い方は Camera フォルダから吸い出したファイルを適当に複数選択してドラッグ&ドロップします。モーションファイルはマウスカーソルを乗せるとモーション再生し、クリックすると MP4 ファイルとしてエクスポートができます。
FireFox と Chrome のみ動作確認しましたが、Edge や Safari でも動くかもしれません… IE11 は一部表示できないファイルがあります。恐らくですが IE はマルチトラックの mp4 を再生できない仕様のような気がします。なお、大量のファイルをドロップした際にクロームがメモリ不足で終了するのを避けるため、初期は50MB以上のサイズの動画ファイルは読まない設定になっています。
ソースコードを Github に置いておきます→ Google Pixel3 Photo File Viewer ソース
サーバーサイド処理は一切無いブラウザ内で完結してる簡単な JavaScript プログラムなので、ソースコードをDLしてアヤしげな挙動が無いか精査の上PCローカルで実行可能です(ただしフォルダを開くにはSame-Origin Policyの無効化が必要)。
モーションフォトを選択したときの EXPORT は Jpeg の EOI マーカ以後が MP4 であった場合にそれを切り出してファイルにするだけの機能です。グーグルフォトアプリなら手ぶれ補正付きで MP4 だけでなく GIF でもエクスポートできるので、ちゃんとエクスポートしたいなら端末のグーグルフォトの機能を使うのがオススメです。
ちなみにMP4エクスポートするとトラックが2つあるマルチトラックMP4ファイル(2トラック目は静止画)になる場合が多いんですが、そういうファイルはグーグルフォトの機能で手ぶれ補正OFFでエキスポートしても同様です。グーグルフォトで手ぶれ補正つきエクスポートするとワントラックファイルになります。なのでモーションフォトのMP4出力動画をたとえば人に渡したりアップロードしたりする場合はグーグルフォトから手ぶれ補正ONでエクスポートするのが無難でしょう。
– トップショットで解像度が半分になる理由 –
モーションフォトはAIが自動で判別したおすすめの瞬間の画像を「トップショット」として保持しますが、これがシャッターを切った瞬間と違う場合シャッター時の画像と別にトップショット画像も保存しないといけないため、マルチトラック仕様となるようです。モーションフォトはグーグルフォトアプリの右上のメニューから「フレーム画像を選択」を使うと、任意のフレームを画像としてエクスポートできますが、動画部分は解像度が 1024×768 ピクセルですので当然ながらその解像度でしか画像を取り出せません。トップショットは別トラックに画像として 2048×1536 ピクセルで保持されているので「おすすめ」フレームを選択するとこの解像度で出力されます。シャッターを切った瞬間は Jpeg ファイルの本体になりますので例えばデフォルトの12.2MP設定なら 4032×3024 で保存されています。このようにモーションフォトはフレームを選択できるけど仕組み上 12.2MP で撮影していてもシャッター時以外はその解像度では取り出せない、というのは頭の隅に置いておくとよいでしょう。
撮影ファイル名の規則
Google Pixel3 のカメラ撮影ファイルは、他のスマホやデジカメ同様にDCF規格に従い /DCIM/Camera フォルダに入っていますので、USBやファイラーなどでその中身をPC等にコピーすることができます。
Pixel3 の購入特典として三年後の2022年1月31日までPixel3からGoogleフォトのオンラインストレージへ無制限に非圧縮アップロードできるそうなので「もう時代はクラウドだぜ!!ハッハッハッ!!ローカルにいちいちバックアップなんてのは旧石器時代におわった!」という方はそちらを利用されるのが賢いと思いますが、かつて新人類といわれた私も今や旧石器人となってしまったので撮影ファイルは常にローカルのHDDにコピーして保存しています。
Pixel3 のカメラフォルダを見るとサブフォルダがやたらあったり結構ゴチャゴチャしてるので初見は「なんぞこれ?」と思ってしまうのですが、ファイル名はおよそ次のような規則のようです。
-
カメラモードでモーションOFFの場合は
IMG_YYYYMMDD_HHMMSS.jpg -
モーションONの場合(自動でONになった場合を含む)
MVIMG_YYYYMMDD_HHMMSS.jpg -
パノラマ撮影
PANO_YYYYMMDD_HHMMSS.jpg -
動画ファイル
VID_YYYYMMDD_HHMMSS.mp4 -
ポートレートモード
“IMG_YYYYMMDD_HHMMSS” というフォルダの中に
ボケたのとボケてない2つの jpg ファイルがはいっている。2つのファイルの命名は
00000PORTRAIT_00000_BURSTYYYYMMDDHHMMSSnnn.jpg
00100lPORTRAIT_00100_BURSTYYYYMMDDHHMMSSnnn_COVER.jpg
YYYYMMDDHHMMSS は撮影時の日付時刻ですが nnn はよくわからない謎数字です。またシャッター連打で1秒内に2枚以上撮影した場合はファイル名に _1, _2 … のサフィックスが付きます。
『ポートレート』は、フォトアプリで後から背景の奥行き(ボケ足)やピント位置を変更できるモードです。ポートレートの名前がついてますが特に縦持ち専用というわけではなく“ポートレイト(人物写真)によくある背景ボケた感じのを撮るやつ”という意味ですね。たぶんAIで被写体輪郭を判別できなかった時だと思いますが、ポートレートモードで撮影してもたまにボケ足変更できない普通のスチールになっちゃう事があるんですがその場合は上記の名称フォルダ内に1ファイルだけある状態になります。
ポートレートモードのボケはカメラの光学的な被写界深度が変化するのではなく、あくまでも画像処理の加工なので対象が複雑な輪郭で背景と入り組むような場合は誤認識もちょいちょいあります…とはいえ単眼のスマホレンズでここまで処理できるのはたいしたモノという感想を持ちました。
Googleフォトでポートレートモードファイルの奥行きを調整して「コピーを保存」した場合、チルダ(~)に数字を付加したサフィックスを付けてひとつ上の階層つまり Camera フォルダに書き出されます…例えば
“IMG_20181224_182244”
のフォルダ内にポートレートファイルがあったら
00100lPORTRAIT_00100_BURST20181224182244373_COVER~2.jpg
みたいな、くっそ長いファイル名でCameraフォルダに書き出されます。
ところでこの仕様を見ていて、ひょっとしたら外部からCameraフォルダに同一の命名規則でjpgファイルをほうりこんだらGoogleフォトアプリで奥行(?)調整できるようなるんちゃうか…?と思ってちょっと試してみたんですが、ダメでした。
EXIF の内容(カメラモデルとかプログラム名など)をあわせてみたりしたんですけど、どの要素で画像を Pixel3 で撮影したものか判定してるのか分からず、外から持ちこんだファイルは単なる画像としか認識されませんでした。ちなみに Camera フォルダに他所から画像ファイルを放りこむと、サムネなど内部管理情報と帳尻が合わなくなってグーグルフォトで見たときのモード表示が狂ったりサムネが大増殖しておかしくなったりするので止めたほうが良いです。そうなってしまった場合は余計な追加ファイルを除去してグーグルフォトアプリのキャッシュをクリアしてアプリを再起動すると直ります。
動画を 60fps で撮る方法
Pixel3 のスチールカメラ機能の話ばかりだったので動画についても少し述べておきます。
スペックについては“4K動画の場合に30fpsまでしか対応していない”というのがハイエイドのカメラ売りモデルとしては気になるところかもしれませんね。ちなみに動画撮影の設定項目を見ると HD 1080p 以下では何故かfpsの表記がないんですが、もしや「UHD(4K)は30fps、そして 1080p にはfps表記は無い…だが、1080p は 60fps であるとも言っていないッ!!」…とかいう事ありゃせんだろうか…? などといらんことが気になったので色々試したところ、どうも自動で 60fps/30fps が切り変ってしまうようです。いやいやいや…fps固定する方法あるやろ??教えて!グーグル先生!!とググってみたところ
(Pixel 3 で 60fps ビデオオプションが無い?? 何が起きているのか?)
という英語の記事があり、どうやら現状では明るい場所は60fpsで暗いと自動で30fpsとなる仕様らしいです。一応将来的にオプションは追加する予定らしいですが…。
あちこちとガジェット系サイト見て回っても 4K の事は書いてあるんですけど自動fpsの事を書いてあるのを見ないんで、まぁ細かい事にこだわる人でさえ気がつくほどの差はない、ちゅーことやろなぁと思うわけで、実際私もちゃんとチェックするまで気がつきませんでした。
カメラ素人の私的には4Kや60fpsなんかよりも手持ちのときの手ブレ補正はどのくらいのモンじゃ?…というのがどっちかというと気になるのですが、手ブレではかなり評価が良かった Xperia と比較して若干クセの違いはあるものの、性能自体は非常に良いと感じました。
動画はグダグダ解説するより見たほうが早いと思うので、年末から正月にかけて撮影してみた動画と静止画いろいろサンプル詰め合わせを数分の4K動画にまとめてみましたので興味ある方は下にある Youtube 動画をご覧ください。
すべて手ぶれ補正は常時ON手持ちで背面カメラによる撮影、動画は HD 1080p モード、静止画は 12.2MP モード設定です。色見や明暗等の調整はしていません。またムービー撮影時のマイク能力もチェックできるよう余計なBGMは入れておりません。個人的にはマイク性能は悪くはなくスマホとして標準レベルと感じました。
付属のイヤホン変換器は実はDAC
Pixel3 にはステレオミニジャックは無く、手持ちの普通のアナログプラグのイヤホンやヘッドフォンを接続したかったら付属の USB-C ⇔ ステレオミニジャックの変換アダプタを使う必要があります。
家電量販店や電気街のショップとかで見かける USB Type-C ⇔ ステレオミニジャック変換は大きく二種類あって、安価なもの(1000円以下クラス)はたいてい USB-C から出ているアナログ出力をヘッドフォン端子へ接続しているタイプですが、これは Pixel3 では利用できません。
Pixel3 の USB-C にはアナログ信号は出ていないので USB-C からデジタルデータを受け取ってアナログ信号に変換するいわゆる DAC(Digital to Analog Converter) 内蔵タイプが必要になります。昔は USB-DAC というとポタアン的なわりとゴッツいイメージだったんですけど、最近は DAC 内蔵なのにまるで単なる変換ケーブルにしか見えない超小型のタイプが出まわるようになりましたね。
音質ですが、正直あんまり期待してなかったんですけどこれがけっこう良い音でビビりました。私はこの10年ほどの間、ポータブルオーディオはずーーーっと Walkman (A846→Z-1000→F880)を使い倒しつづけてるんですけど、そのせいか良くも悪くもめちゃめちゃ耳がソニー耳(ってどんなだ?)になっちゃってるんですが、そのソニー耳で聞く付属DACの Pixel3 の音はほぼフラットで素直な音だと感じました。メリハリのある音が好きな人にはやや物足りない感じですが、クドい味付けはいらんから普通にスッとそのまま音出せや!…っていう人にはぴったりです。手持ちの各種機材の中では iPodTouch の音が一番近い印象ですかね。
ただ先述のとおり Pixel3 はデジタルでしかサウンドが出てこないので、ぶっちゃけ本体の音質を云々しても意味はなく、この話も要は『付属のDACの音質』の話になります。なので気に入らなかったら別途サードパーティの DAC を使って色々試すもよし、もっと上目指したいアグレッシブな人はポータブルアンプを使うという方向性もあります。
Youtube Music Premium にハマる
前回の記事で Pixel3 では Youtube Music Premium が半年タダの特典がある、っていう話しましたけどもこの YT Music Premium 初めて使ってみたんですけどこれはかなり良いですね。Pixel3特典でなく普通のユーザー登録をした場合は三ヶ月間はタダでその後有料版に移行すると月額は Android の場合 980円、iOS は 1280円(Apple App Store の見ヶ〆料がプラスされてるそうな)になるようですが、月平均一枚以上はアルバム買うっていう感じの音楽ファンなら登録をおすすめしたいですね。私も無料トライアル終ったらそのまま課金して有料版を使い続けようかな、とおもております。
YT Music はサブスクリプション(月額課金)音楽サービスの一種ですけど、課金なしの無料版でも普通に使えて無料のままでも有料版とまったく同じコンテンツを楽しむことができます(今のところYT Music有料版でしか聞けない曲みたいなのは無い)。もちろん金取るからには有料版には色々メリットが用意されているわけですが、特に大きな利点は『広告がでない』『オフラインで再生できる』『アプリがバックグランドに回っても再生できる』という3点です。
月額課金の音楽サービスではストアされているライブラリの豊富さは最重要項目のひとつだと思いますが、YT Music の網羅するレパートリー幅はハンパないですね。かなりレア物なアーティストやアルバムでも見つかることが多く、さらに Youtube にアップロードされた動画からも探して音声だけ再生することもできますので質はともかく数だけならおそらく同種サービスのトップじゃないですかね。ただ検索にちょっとコツがあり、ダイレクトにアーティストやアルバム名で検索しても上手くひっかからない事があるので、無いなと思ったらキーワードを色々組みあわせて検索すると見つけやすいです。このへんはグーグルでググるのと似ています。
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コピーはmitaのCMでしたっけ…?
今聞いてもなかなかカッコイイ
私の個人音楽ライブラリは MPB/Bossa Nova/Samba を中心にしたブラジル音楽で95%ぐらい占めてるという偏食が過ぎるスタイルなんですけども、MPBやボサノヴァはある種ライフワーク的にこだわっているので課金方式だと何らかの理由で聞けなくなるリスクがあるのが嫌っていうのがあり、できれば実物CDか最低でも永続的データDLを買って確保したい。しかしたとえば大昔の学生の頃によく聞いていたフュージョンバンドとかCMで良く耳にした懐しい曲とか、そういう今あらためてCD探したり買いたいほどじゃないんだけど(つまりたいした思い入れは無いんだけど)、懐古趣味でもっぺん聞きたいなと思うようなアルバムや曲を片っ端から検索して聞くのがめちゃめちゃ楽しい。音楽ファンていうのも色々なスタイルや色々な濃さがあると思うんですが、私みたいなコレクター癖があるタイプは課金方式の音楽サービスには向かないと思ってたんですけど、実際使ってみてこういうスタイルがあったのを発見したのは良かったと思います。
付属 USB-C イヤフォンの感想
最後に付属の Pixel USB-C イヤフォンについて軽く述べて Pixel3 のレビューを締めたいと思います。
…ごめん、これ私には合わなかった。まず装着感がどうもいまいち…まあ普段耳穴に奥深く挿入するタイプに慣れすぎて耳穴がガバガバゆるゆるになってるからでしょうかね。この付属イヤホンはアシスタンスとの連携がウリなので音質云々はそこまで拘ったものではないんでしょうけども…気のせいかもしれませんが、どうも音にかすかにリバーブがかかってる質感が抜けなくて使うのは諦めました。あと形状的に耳く○がフチの部分で削れて段々蓄積してくるような気がしてしまって…これだと丸洗いはできないし、耳○そがメッシュにがっつり食いついたら掃除とか無理なんじゃないですかね。天下のグーグル先生の作品ですからひょっとすると耳○○が堆積した状態まで含めた上で音響設計してある…つまり、数ヶ月は常用してみないと本当のサウンドは聞けなかったのかもしれません。本当のサウンドが聞けた人は是非コメントいただければ幸いです。